診療 造血器腫瘍遺伝子パネル検査について
がんゲノム医療と造血器腫瘍遺伝子パネル検査について
遺伝子異常と造血器腫瘍の発症
ゲノムとは、生物が持っている遺伝情報の全てを指す言葉です。ヒトゲノムは約31億のG、A、T、Cという塩基が対になったDNAからできており、このDNAの中で我々の生命活動に必須であるタンパク質の設計情報が書かれた部分を遺伝子と呼びます。 造血器腫瘍は主に遺伝子に傷がつくことで発症し、造血器腫瘍や類縁疾患の原因や病態に関わる遺伝子異常も数多く報告されています。多くの遺伝子異常は、生まれてから起こる偶発的な異常(=体細胞異常)で、親から子へ受け継がれませんが、時に生まれ持った遺伝子の変化により、造血器腫瘍やその他の病気になりやすい体質を持ち、親から子へと受け継がれる場合(=生殖細胞系列バリアント)があります。
がんゲノム医療とは
がんゲノム医療とは、がん細胞の遺伝子異常を調べ、そのがんの性質を知り、診断、治療、予後予測に役立てる医療のことです。そして、がんゲノム医療に不可欠な、がん細胞の遺伝子異常を一度に網羅的に調べる検査が遺伝子パネル検査です。日本では2019年から固形がんにおいて遺伝子パネル検査が保険診療で実施されています。
造血器腫瘍遺伝子パネル検査について
固形がんと造血器腫瘍では遺伝子異常の種類が異なることや、検査に使用する試料(血液、骨髄液、リンパ節など)が異なること、また造血器腫瘍では検査の目的が治療法の選択だけでなく、診断と予後予測への有用性も求められることから、造血器腫瘍分野独自の開発が進められてきました。2025年3月に大塚製薬株式会社と国立がん研究センター(当教室 片岡圭亮が中心)が共同設計した造血器腫瘍遺伝子パネル検査「ヘムサイト」が保険診療で認められました。造血器腫瘍のゲノム診療ではヘムサイトを使用して、造血器腫瘍や類縁疾患に関連する300種類以上の遺伝子を調べます。
参考資料
慶應義塾大学医学部がんゲノム医療センター/腫瘍センターがんゲノム医療ユニット ホームページ
https://genomics-unit.pro
国立がん研究センター がんゲノム情報管理センター ホームページ
https://for-patients.c-cat.ncc.go.jp
造血器腫瘍ゲノム検査ガイドライン 2023年度版
http://www.jshem.or.jp/genomgl/home.html
